屋根塗装で失敗しない!下塗り塗料の種類・選び方と屋根材との相性
2024.08.03 (Sat) 更新

屋根塗装を検討する際、多くの方が上塗り塗料に注目しがちですが、実は下塗りの役割も非常に重要です。
下塗りは、屋根の寿命を左右すると言っても過言ではありません。
適切な下塗りを行うことで、上塗り塗料の性能を最大限に引き出し、美しい仕上がりと長期的な耐久性を実現できます。
今回は、屋根塗装における下塗りの重要性と、様々な種類の下塗り塗料についてご紹介します。
なぜ屋根塗装に下塗りが必要か
下塗りの重要な役割
屋根塗装における下塗りは、単に塗料を塗る前の準備工程ではありません。
下塗りには、主に以下の4つの重要な役割があります。
密着性の向上: 下塗りは、屋根材と上塗り塗料の密着性を高める接着剤のような役割を果たします。
屋根材の表面は、経年劣化や汚れによって塗料が密着しにくい状態になっていることがあります。
下塗りを施すことで、上塗り塗料がしっかりと密着し、剥がれにくく、長持ちする塗膜を形成します。
塗料の吸い込み防止: 傷んだ屋根材は、塗料を過剰に吸い込んでしまうことがあります。
下塗りは、屋根材への塗料の吸い込みを抑制し、上塗り塗料が均一な厚さで塗布されるように調整します。
これにより、色ムラを防ぎ、塗料本来の性能を十分に発揮させることができます。
下地の色隠蔽: 下塗りは、屋根材の色やシミ、汚れなどを隠蔽する効果があります。
特に、濃い色の屋根材から明るい色へ塗り替える場合、下塗りをしっかりと行うことで、上塗り塗料の発色を良くし、美しい仕上がりを実現します。
機能性の付与: 下塗り塗料には、錆止め効果、遮熱効果、防水効果、防カビ・防藻効果など、様々な機能を持ったものがあります。
屋根材の種類や劣化状況、周辺環境に合わせて適切な下塗り塗料を選ぶことで、上塗り塗料の効果をさらに高めることができます。
下塗りをしないとどうなる?
下塗りをせずに上塗り塗料を直接塗布すると、様々な問題が発生する可能性があります。
1:塗膜の剥がれ
上塗り塗料が屋根材に密着せず、早期に剥がれてしまうことがあります。
2:色ムラの発生
屋根材の吸い込みムラにより、上塗り塗料の色ムラが発生しやすくなります。
3:耐久性の低下
上塗り塗料の性能が十分に発揮されず、屋根の寿命が短くなってしまうことがあります。
4:塗料の無駄
屋根材が塗料を過剰に吸い込み、必要以上に塗料を消費してしまうことがあります。
これらの問題を回避し、屋根塗装の効果を最大限に引き出すためには、適切な下塗りを行うことが不可欠です。

屋根塗装 下塗り 種類と選び方
下塗り塗料には、様々な種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。
ここでは、代表的な下塗り塗料の種類と選び方について解説します。
シーラーとは?
シーラーは、下地と上塗り塗料の密着性を高めることを主な目的とした下塗り塗料です。
「Seal(シール)」という言葉が語源で、下地を密封し、塗料の吸い込みを防ぐ効果もあります。
1:特徴
・浸透性が高く、下地の強度を高める効果があります。
・比較的安価で、幅広い屋根材に使用できます。
・水性タイプと油性タイプがあり、屋根材の種類によって使い分けます。
2:選び方
・劣化が比較的少ない屋根材には、水性シーラーが適しています。
・劣化が激しい屋根材や、金属屋根には、密着性の高い油性シーラーが適しています。
・ひび割れが少ない屋根材に適しています。
プライマーとは?
プライマーも、シーラーと同様に、下地と上塗り塗料の密着性を高めることを目的とした下塗り塗料です。
シーラーとの明確な区別はありませんが、プライマーは、特に金属系の屋根材に使用されることが多い傾向があります。
1:特徴
・金属に対する密着性が高く、錆止め効果を持つものもあります。
・エポキシ系、ウレタン系など、様々な種類があります。
2:選び方
・金属屋根(トタン、ガルバリウム鋼板など)には、金属専用のプライマーを選びましょう。
・錆が発生している場合は、錆止め効果のあるプライマーを選びましょう。
フィラーとは?
フィラーは、下地の凹凸やひび割れを埋めることを目的とした下塗り塗料です。
シーラーやプライマーに比べて粘度が高く、厚塗りすることができます。
1:特徴
・下地の凹凸を平滑にし、上塗り塗料の仕上がりを向上させます。
・ひび割れを目立たなくする効果があります。
・モルタル壁や、表面に凹凸のある屋根材に適しています。
2:選び方
・ひび割れの幅や深さに合わせて、適切なフィラーを選びましょう。
・微弾性フィラーは、ひび割れ追従性があり、再発を抑制する効果が期待できます。
微弾性フィラーとは?
微弾性フィラーは、シーラーとフィラーの両方の機能を兼ね備えた下塗り塗料です。
塗膜が柔らかく、伸縮性があるため、建物の動きによるひび割れに追従し、塗膜の割れを防ぐ効果があります。
1:特徴
・シーラーとフィラーの機能を併せ持つため、一度塗りで下地処理と密着性向上を両立できます。
・ひび割れ追従性が高く、モルタルやALCなどのひび割れしやすい下地に最適です。
2:選び方
・ひび割れが心配な屋根材には、微弾性フィラーを選びましょう。
・防水性が必要な場合は、防水機能付きの微弾性フィラーを選びましょう。
バインダーとは?
バインダーは、下地と上塗り塗料の密着性を高めることを目的とした下塗り塗料です。
シーラーよりも密着性が高いものが多く、金属やプラスチックなど、様々な素材に使用できます。
1:特徴
・密着性が高く、様々な素材に使用できます。
・新築時の塗装や、下地の劣化が少ない場合に使用されることが多いです。
2:選び方
・新築時の塗装や、下地の状態が良い場合に適しています。
・特殊な素材の屋根材に使用する場合は、専用のバインダーを選びましょう。
サーフェイサーとは?
サーフェイサーは、下塗り塗料と上塗り塗料の間に塗布する中塗り塗料の一種です。
下塗りでは隠しきれなかった下地の凹凸や傷を埋め、上塗り塗料の発色を良くする効果があります。
1:特徴
・下地の微細な凹凸を平滑にし、上塗り塗料の仕上がりを向上させます。
・上塗り塗料の発色を良くし、美しい仕上がりを実現します。
2:選び方
・下地の状態が悪い場合や、上塗り塗料の色を鮮やかにしたい場合に適しています。

屋根材別 おすすめの下塗り塗料
屋根材の種類によって、適した下塗り塗料は異なります。
ここでは、代表的な屋根材の種類と、それぞれにおすすめの下塗り塗料をご紹介します。
スレート屋根
スレート屋根は、薄い板状の屋根材で、比較的安価で施工しやすいのが特徴です。
しかし、吸水性が高く、経年劣化しやすいというデメリットもあります。
おすすめの下塗り塗料:
シーラー:下地の強化と吸い込み防止に効果的です。
微弾性フィラー:ひび割れ追従性があり、防水効果も期待できます。
セメント瓦屋根
セメント瓦屋根は、セメントを主原料とした瓦で、耐久性が高いのが特徴です。
しかし、表面が劣化しやすく、コケや藻が発生しやすいというデメリットもあります。
おすすめの下塗り塗料:
シーラー:下地の強化と吸い込み防止に効果的です。
防カビ・防藻シーラー:コケや藻の発生を抑制する効果があります。
金属屋根
金属屋根は、トタンやガルバリウム鋼板などの金属を使用した屋根で、軽量で耐久性が高いのが特徴です。
しかし、錆が発生しやすいというデメリットもあります。
おすすめの下塗り塗料:
錆止めプライマー:錆の発生を抑制する効果があります。
エポキシプライマー:密着性が高く、耐久性に優れています。
トタン屋根
トタン屋根は、亜鉛メッキ鋼板を使用した屋根で、比較的安価で施工しやすいのが特徴です。
しかし、錆が発生しやすく、断熱性が低いというデメリットもあります。
おすすめの下塗り塗料:
錆止めプライマー:錆の発生を抑制する効果があります。
遮熱塗料用下塗り:遮熱効果を高める効果があります。
FAQ(よくある質問)
Q1: 下塗りはDIYでもできますか?
A1: DIYでも可能ですが、専門的な知識や技術が必要です。
下地処理や塗料の選定を誤ると、期待した効果が得られない場合があります。
自信がない場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
Q2: 下塗りの乾燥時間はどのくらいですか?
A2: 下塗り塗料の種類や気温、湿度によって異なりますが、一般的には2〜8時間程度です。
メーカーの仕様書を確認し、適切な乾燥時間を守りましょう。
Q3: 下塗りの費用はどのくらいですか?
A3: 下塗り塗料の種類や面積によって異なりますが、屋根塗装全体の費用の1〜2割程度が目安です。
見積もりを依頼する際は、下塗り塗料の種類や使用量についても確認しましょう。
まとめ
屋根塗装における下塗りは、上塗り塗料の性能を最大限に引き出し、屋根の寿命を延ばすための重要な工程です。
下塗り塗料には様々な種類があり、屋根材の種類や状態に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
DIYで行うことも可能ですが、専門的な知識や技術が必要となるため、自信がない場合は専門業者に依頼することをおすすめします。
適切な下塗りを行うことで、美しい仕上がりと長期的な耐久性を実現し、快適な住まいを守りましょう。






















