ゆず肌仕上げ外壁とは?特徴・メリット・注意点まで詳しく解説
2024.05.30 (Thu) 更新

ゆずの皮のような独特の凹凸が特徴の「ゆず肌仕上げ」は、外壁に深みと表情を与える人気の塗装方法です。
しかし、その魅力の裏には、施工方法や色選び、メンテナンスに関するいくつかの注意点があります。
今回は、ゆず肌仕上げの基本的な特徴から、具体的な施工方法、そして長く美しさを保つためのポイントまでをご紹介します。
外壁塗装をご検討中の方にとって、ゆず肌仕上げがどのようなものか、理解を深める一助となれば幸いです。
ゆず肌仕上げ外壁とは?基本と特徴
ゆず肌仕上げの定義
ゆず肌仕上げとは、外壁の表面にゆずの皮のような細かい凹凸を施す塗装方法です。
この独特の質感は、建物全体に自然な陰影と立体感を与え、意匠性の高い仕上がりを実現します。
日本の多くの住宅で採用されており、外壁塗装のメジャーな仕上げ方の一つとして知られています。
ゆず肌仕上げの別名
ゆず肌仕上げは、その見た目から「ガン肌」や「オレンジピール」とも呼ばれることがあります。
これらの別名も、外壁表面の微細な凹凸を表現しており、この仕上げ方法が持つ独特の質感をよく表しています。
ゆず肌仕上げのメリット
ゆず肌仕上げには、主に以下のメリットがあります。
・凹凸による自然な陰影と意匠性
平面的な印象になりがちなモルタル外壁に自然な陰影が加わることで、建物全体に立体感と深みが生まれます。
光の当たり方によって表情が変化するため、豊かな外観デザインを楽しむことができます。
・耐久性の高さ
ゆず肌仕上げに使用される塗料は粘度が高く、一般的な塗装よりもやや厚めに塗膜を形成します。
この厚い塗膜は、外壁の保護性能を高め、耐久性の向上に寄与します。
ゆず肌仕上げのバリエーション
ゆず肌仕上げは、塗料の粘度や施工方法を調整することで、凹凸の大きさや密度に様々なバリエーションを持たせることができます。
例えば、スプレーガンの口径を変えたり、使用するローラーの種類を工夫したりすることで、キメの細かい繊細な凹凸から、さざ波のようなやや強めの凹凸まで、好みに合わせた質感に仕上げることが可能です。
これにより、建物のデザインや周囲の環境に合わせて、最適な外壁の表情を作り出すことができます。

ゆず肌仕上げの施工方法
吹き付け塗装の工程
吹き付け塗装でゆず肌仕上げを行う場合、高粘度の塗料を「乱糸ガン」と呼ばれる専用のスプレーガンにセットし、外壁に噴射して凹凸を形成します。
スプレーガンの口径を調整することで、凹凸の大きさを変えることができ、多様な表情を生み出します。
この方法は、均一で美しいゆず肌を形成するために、塗料の粘度管理やスプレーの圧力、距離など、職人の高い技術と経験が求められます。
ローラー塗装の工程
ローラー塗装によるゆず肌仕上げでは、専用のローラーを使用し、粘度の高い塗料を塗布することで凹凸を形成します。
具体的な工程としては、まず下塗りを行い、その後に専用ローラーでゆず肌の模様付けを行います。
その後、中塗り、上塗りと工程を進めて完成させます。
中には、「さざ波」仕上げのように小さな波模様を形成した後、上塗り専用の塗料(トップコート)を重ねて凹凸面を滑らかにし、ゆず肌に仕上げる方法もあります。
ローラーの種類や塗料の粘度によって、様々な模様を作り出すことが可能です。
職人の技術と仕上がり
ゆず肌仕上げは、吹き付け塗装・ローラー塗装のいずれの方法においても、職人の熟練した技術が仕上がりを大きく左右します。
特にローラー仕上げでは、均一かつ美しい凹凸を出すために、高度な技術と経験が要求されます。
技術力の低い施工店に依頼してしまうと、期待通りの仕上がりにならないだけでなく、塗料のムラや凹凸の不均一さなど、施工不良につながる可能性もあります。
理想通りのゆず肌仕上げを実現するためには、実績が豊富で、熟練の職人が在籍する施工店を選ぶことが非常に重要です。
ゆず肌仕上げを選ぶ際の注意点
色選びのポイント
ゆず肌仕上げの最大の魅力は、その表面に施された凹凸による陰影です。
この凹凸模様を最大限に引き立て、美しさを長く楽しむためには、淡い色の塗料を選ぶのがおすすめです。
白やクリーム色、ライトグレーなどの淡い色は、光の当たり方によって陰影がより際立ち、立体感が強調されます。
一方で、黒やブラウンといった濃い色の塗料を選んでしまうと、凹凸模様が目立ちにくくなり、ゆず肌仕上げ特有の意匠性が薄れてしまう可能性があります。
外壁全体の印象を考慮し、淡い色の中から希望に合ったカラーを選ぶと良いでしょう。
汚れやすさと手入れ
ゆず肌仕上げは表面が凹凸しているため、平滑な外壁に比べて土埃や雨水などの汚れが凹部に溜まりやすい特性があります。
特に淡い色を選んだ場合、汚れが目立ちやすくなることがあるため注意が必要です。
汚れの蓄積は見た目を損なうだけでなく、塗膜の劣化を早める原因にもなるため、定期的な清掃が推奨されます。
高圧洗浄機などを使って、長期間放置せずに汚れを洗い流すことで、比較的簡単にきれいな状態を保ちやすくなります。
こまめな清掃に時間を割くのが難しいと感じる場合は、汚れが目立ちにくい色を選ぶか、ゆず肌仕上げ以外の別の仕上げ方法を検討することも一案です。
耐用年数との関係
外壁の仕上げ方法がゆず肌仕上げであるかどうかは、外壁塗装全体の耐用年数には直接関係しません。
外壁塗装の耐用年数は、主に塗料の種類(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機など)やグレードによって決まります。
ゆず肌仕上げを選んだからといって、塗料本来の耐用年数が向上したり、逆に短くなったりすることはありません。
長期間の耐久性を求める場合は、仕上げ方法だけでなく、耐久性の高い塗料を選ぶことが重要となります。
施工業者と相談し、予算と希望の耐久性を考慮した塗料を選ぶようにしましょう。
意図しないゆず肌の原因
ゆず肌仕上げは意匠性を目的とした施工方法ですが、時には施工不良によって意図せずゆず肌のような凹凸が外壁にできてしまうことがあります。
このような意図しないゆず肌の主な原因としては、塗料の粘度が高すぎること、スプレー塗装時の圧力(圧が強すぎたり弱すぎたり)やスプレーガンと外壁の距離が不適切であることなどが挙げられます。
これらの要因により、塗料が均一に塗布されず、不自然な凹凸が生じてしまうのです。
このような意図しないゆず肌は、見た目を損なうだけでなく、塗膜の性能低下や耐久性への悪影響を及ぼす可能性があります。
もしゆず肌仕上げを依頼していないのに外壁が凸凹に仕上がってしまった場合は、速やかに施工業者に相談し、適切な対応を求める必要があります。
よくある質問
・Q.ゆず肌仕上げはどのような外壁材に適していますか?
A.ゆず肌仕上げは、特に平らで単調な印象になりがちなモルタル外壁に美しく仕上がります。
サイディングや金属外壁にはない独特の意匠性を発揮し、建物全体に立体感と深みを与えます。
素材の特性を活かしつつ、個性を出すのに適した仕上げ方法と言えるでしょう。
・Q.ゆず肌仕上げ以外にどのような外壁の仕上げ方法がありますか?
A.ゆず肌仕上げ以外にも、外壁塗装には様々な仕上げ方法があります。
例えば、骨材に砂や大理石を混ぜたものを吹き付けるスタッコ仕上げ、砂を含んだざらざらとした質感のリシン仕上げ、艶のある凸凹模様が特徴の吹付タイル仕上げ、ゆず肌よりも強い凹凸が特徴のさざ波模様などがあります。
それぞれ異なる質感や表情を持つため、建物のデザインや好みに合わせて選ぶことができます。

まとめ
ゆず肌仕上げは、外壁にゆずの皮のような独特の凹凸を施し、建物に深みと立体感を与える人気の高い塗装方法です。
その魅力は、自然な陰影による意匠性の高さと、厚い塗膜による耐久性の向上にあります。
しかし、その美しさを最大限に引き出すためには、淡い色選びが推奨されること、凹凸により汚れが溜まりやすいこと、そして何よりも職人の高い技術が仕上がりを左右するという注意点も存在します。
意図しないゆず肌が発生することもあるため、業者選びは慎重に行うべきです。
外壁塗装の耐用年数は塗料の種類に左右されるため、仕上げ方と合わせて塗料選びも重要になります。























