シーラーとフィラー使い分けで長持ち外壁塗装を実現!違いと選び方
2024.03.26 (Tue) 更新

外壁塗装を行う際、下塗り材の選択は仕上がりの美しさや耐久性に直結する重要なポイントです。
外壁の状態や素材によって適切な下塗り材を選ぶことで、塗膜の持ちや美観が大きく変わります。
特に「シーラー」と「フィラー」という言葉を耳にする機会が多いですが、それぞれの役割や違いを正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。
どちらも下塗り材として使われますが、使用する目的や適した下地の種類が異なります。
この記事では、シーラーとフィラーの特徴や選び方、使い方を詳しく解説し、塗装を検討している方が適切に選べるようにまとめました。
シーラーとフィラーの違いとは?
シーラーの役割
シーラーは、塗装作業の初めに使用される下塗り材で、最も基本的な下塗り材のひとつです。
シーラーの主な目的は、上塗り塗料と下地の密着性を高めることにあります。
具体的には、接着剤のような働きをして、塗膜がしっかりと下地に付着するようにすることで、仕上げ塗料の剥がれを防ぐ効果があります。
また、下地の吸い込みを抑える作用もあり、下地が塗料を吸い込みやすい場合でも、上塗り塗料を均一に塗布することができます。
もしシーラーを使わずに上塗りだけを行うと、塗料が下地に吸い込まれすぎてムラになったり、色の仕上がりが不均一になる可能性があります。
シーラーは、「seal(密封する・接着する・塞ぐ)」という言葉が語源であり、その名の通り、下地と塗料の間に密着層を作る重要な役割を担っています。
フィラーの役割
フィラーは、下地の凹凸やひび割れを平滑にするために使用される下塗り材です。
特にモルタル外壁で発生する細かいひび割れ、いわゆるヘアクラックを埋めるために使用されることが多く、表面を平らにすることで上塗り塗料を均一に塗ることが可能になります。
そのため、モルタルやコンクリートの外壁で凹凸がある場合や、スレート屋根などに損傷が見られる場合には、シーラーではなくフィラーを使用するのが一般的です。
フィラーは「充填材」という意味を持ち、粘着性が高く、下地の凹凸や細かいひび割れに追従する特性があります。
このため、上塗り塗料が下地の状態に左右されずに均一に塗布され、仕上がりの美しさを確保することができます。

シーラーの種類と選び方
水性シーラー
水性シーラーは、浸透性が比較的低く、下地の劣化が少ない場合に適しています。
臭いが少なく、環境にやさしい点がメリットです。
乾燥時間は通常3〜4時間ほどで、劣化が進んでいない外壁や屋根材に適しています。
さらに、室内や住宅密集地での施工でも臭いが少ないため、作業環境への影響が少ない点も利点です。
油性シーラー
油性(溶剤系)シーラーは、浸透性が高く、劣化が進んだ下地や吸い込みの激しい下地に向いています。
乾燥時間は30〜60分程度と短く、密着力が高いのが特徴です。
ただし、溶剤の匂いが強いため、施工時は換気や防護対策が必要です。
経年劣化の進んだ外壁や、吸い込みが多く上塗り塗料が均一に塗りにくい場合に最適です。
シーラー選びのポイント
一般的な目安として、下地の劣化が少ない場合は水性シーラー、劣化が進んで補強が必要な場合は油性シーラーを選ぶのが基本です。
さらに、上塗り塗料の種類によって適したシーラーが異なる場合があるため、必ず塗料メーカーの推奨や施工マニュアルを確認することが重要です。
フィラーの種類と選び方
微弾性フィラー
シーラーとフィラーの両方の機能を持つ「微弾性フィラー」という製品もあります。
弾性素材が使用されており、特にモルタル外壁の小さなひび割れや微細な動きに対応できるため、経年劣化によって発生しやすい乾燥クラックにも追従します。
また、劣化の進んだスレート屋根でも使用されることがあります。
微弾性フィラーを使用することで、塗膜のひび割れ防止効果が高まり、長期的に美しい仕上がりを維持できます。
フィラー選びのポイント
フィラーは基本的に水性タイプで、モルタル外壁のひび割れ補修や凹凸調整に使用されます。
下地の状態に応じて適切なフィラーを選ぶことが重要です。
ひび割れが特に多い場合には微弾性フィラーを選ぶとより効果的です。
フィラーはモルタル外壁専用であり、サイディング外壁には使用できません。
また、ヘアクラックや凹凸を埋めて平滑にするため、塗布量はシーラーよりも多くなる点に注意が必要です。
よくある質問
Q: シーラーとプライマーの違いは?
A: シーラーとプライマーはどちらも下地と上塗り塗料の密着性を高める役割を持つ下塗り材です。
明確な定義はありませんが、一般的にはシーラーは塗料を吸いやすい外壁に、プライマーは鉄部やステンレスなど錆止めを含む塗料に使用されることが多いです。
Q: 微弾性フィラーはどの外壁にも使えますか?
A: 微弾性フィラーはモルタル外壁の小さなひび割れ補修に適していますが、サイディング外壁には使用できません。
外壁の種類や状態に応じて適切に選ぶ必要があります。
Q: 下塗りをせず上塗りだけ行うとどうなる?
A: 下塗りを行わずに上塗りだけ行うと、塗料が下地に密着せず剥がれやすくなったり、色ムラが生じる原因になります。
また、下地の吸い込みを抑える効果もないため、塗料の消費量が増える可能性があります。
適切な下塗りを行うことで、上塗りの塗料を均一に塗布でき、耐久性も高まります。

まとめ
シーラーとフィラーは、外壁塗装における下塗りで非常に重要な役割を担っています。
シーラーは下地と上塗り塗料の密着性を高め、フィラーは下地の凹凸を平滑にすることで上塗りの美しい仕上がりをサポートします。
それぞれの特徴を理解し、塗装場所や下地の状態に応じて適切な下塗り材を選ぶことが、美しい仕上がりと長持ちする塗膜を実現するために不可欠です。
施工前に下地をしっかり確認し、適切な下塗り材を選ぶことが、長く快適な住まいを維持するためのポイントとなります。




















