スレート屋根カバー工法とは?費用相場・注意点・工事の選択肢
2024.03.21 (Thu) 更新
スレート屋根のメンテナンス方法の一つとして、カバー工法があります。
既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで、屋根の寿命を延ばし、美観を向上させることが可能です。
しかし、カバー工法には費用や工法、注意点など、知っておくべき点がいくつか存在します。
この記事では、スレート屋根のカバー工法について、費用相場やメリット・デメリットなどを解説します。
スレート屋根 カバー工法とは?
カバー工法の基礎知識
カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねて葺く工事のことです。
スレート屋根の場合、既存のスレートの上に防水シートを敷き、その上に新しい屋根材を重ねます。
カバー工法は、葺き替えに比べて費用を抑えられ、工期も短縮できるため、近年注目されている屋根リフォームの方法です。
また、アスベストが含まれるスレート屋根の場合、既存の屋根材を撤去する葺き替えに比べて、アスベストの飛散リスクを抑えられるというメリットもあります。
カバー工法が選ばれる理由
スレート屋根のカバー工法が選ばれる理由はいくつかあります。
・アスベスト問題への対応: 2004年以前に製造されたスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があります。
カバー工法では既存のスレートを撤去しないため、アスベストの飛散リスクを最小限に抑えられます。
アスベスト含有建材の処分費用は高額になる傾向があるため、カバー工法は経済的な選択肢となります。
・費用を抑えられる: 葺き替え工事と比較して、既存の屋根材の撤去費用や処分費用が不要となるため、費用を大幅に削減できます。
また、人件費も抑えられるため、全体的な工事費用を安く済ませることが可能です。
・工期が短い: 既存の屋根材を撤去する手間が省けるため、工期を短縮できます。
工場や倉庫の場合、作業を停止する期間を最小限に抑えられます。
住宅の場合でも、工事期間中に普段と変わらない生活を送ることが可能です。
スレート屋根 カバー工法の費用相場
費用を左右する要因
スレート屋根のカバー工法の費用は、様々な要因によって変動します。
一般的には、1平方メートルあたり5,000円から11,000円程度が相場とされていますが、以下の要素が費用に影響を与えることを覚えておきましょう。
1:屋根の形状
屋根の形状が複雑なほど、施工に手間がかかるため費用が高くなります。
例えば、切妻屋根よりも寄棟屋根の方が費用が高くなる傾向があります。
2:屋根材の種類
使用する屋根材の種類によって費用が大きく異なります。
ガルバリウム鋼板やSGL鋼板などの金属屋根材が一般的に使用されますが、グレードの高い屋根材を選ぶと費用は高くなります。
3:下地材のグレード
防水シートや野地板などの下地材のグレードによっても費用が変動します。
耐久性や防水性の高い下地材を選ぶと、初期費用は高くなりますが、長期的に見るとメンテナンスコストを抑えられる可能性があります。
4:立地条件
住宅地の密集度合いや道路の幅など、立地条件によっても費用が変動します。
資材の搬入が困難な場合や、作業スペースが限られている場合は、追加費用が発生することがあります。
5:業者による違い:
施工業者によって費用設定が異なるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
費用を抑えるポイント
スレート屋根のカバー工法の費用を抑えるためには、以下のポイントを意識しましょう。
1:業者から見積もりを取る
業者から見積もりを取り、費用や工事内容を確認しましょう。
2:屋根材のグレードを下げる
高価な屋根材ではなく、耐久性がありながらも比較的安価な屋根材を選ぶことで費用を抑えられます。
例えば、ガルバリウム鋼板はコストパフォーマンスに優れた屋根材です。
補助金や助成金を活用する: 地方自治体によっては、屋根リフォームに対する補助金や助成金制度があります。
事前に確認し、活用できる制度があれば積極的に利用しましょう。
3:工事時期を検討する
業者によっては、閑散期に割引キャンペーンを実施している場合があります。
工事時期を調整することで、費用を抑えられる可能性があります。
スレート屋根 カバー工法のメリット・デメリット
知っておきたいメリット
スレート屋根のカバー工法には、以下のようなメリットがあります。
1:コスト削減
既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根材を重ねるため、解体費用や廃材処分費用を抑えることができます。
2:断熱性・遮音性の向上
屋根が二重構造になることで、断熱性や遮音性が向上し、快適な住環境を実現できます。
3:工期短縮
葺き替え工事に比べて工期が短く、工事期間中の生活への影響を最小限に抑えられます。
4:アスベスト対策
アスベスト含有のスレート屋根の場合、既存の屋根材を撤去せずにカバーするため、アスベストの飛散リスクを抑えることができます。
注意すべきデメリット
スレート屋根のカバー工法には、以下のようなデメリットも存在します。
1:耐震性への影響
屋根が重くなるため、建物の耐震性に影響を与える可能性があります。
特に、古い建物や耐震性が低い建物では、事前に専門業者に相談し、耐震診断を行うことをおすすめします。
2:アスベストの残留
カバー工法ではアスベストが残ったままになるため、将来的に屋根を解体する際に、アスベストの処理費用が発生する可能性があります。
3:適用条件
既存の屋根材の状態によっては、カバー工法が適用できない場合があります。
下地の劣化が激しい場合や、雨漏りがひどい場合は、葺き替え工事が必要となることがあります。
4:火災保険の適用
カバー工法は、火災保険の対象外となる場合があります。
災害前の状態に戻すための工事ではないため、保険会社に確認が必要です。
FAQ(よくある質問)
Q1: カバー工法で使用できる屋根材は?
A1: カバー工法では、軽量な金属屋根材が主に用いられます。
ガルバリウム鋼板やSGL鋼板が一般的で、これらは耐久性、耐候性、耐震性に優れています。
Q2: カバー工法と葺き替え、どちらを選ぶべき?
A2: 屋根の状態、予算、将来的な計画によって異なります。
屋根の劣化が軽度で、アスベスト対策をしたい場合はカバー工法が適しています。
屋根の劣化が激しい場合や、屋根のデザインを一新したい場合は葺き替えがおすすめです。
Q3: カバー工法の工事期間はどのくらい?
A3: 一般的な住宅の場合、カバー工法の工事期間は5日から10日程度です。
屋根の形状や面積、天候によって変動します。
まとめ
スレート屋根のカバー工法は、費用を抑えつつ屋根の寿命を延ばせる有効な手段です。
アスベスト対策としても有効であり、工期も比較的短いというメリットがあります。
しかし、耐震性への影響やアスベストの残留といったデメリットも存在するため、事前にしっかりと検討することが重要です。