外壁塗装で無機塗料を選ぶ!メリット・デメリットから比較まで
2023.04.19 (Wed) 更新

近年、外壁塗料として無機塗料が注目を集めています。
その高い耐候性から、ご自宅のメンテナンスを検討されている方も多いでしょう。
この塗料は従来の塗料とは異なる特性を持ち、多くのメリットを提供しますが、注意点もあります。
今回は無機塗料の基本知識から利点・懸念点、他の塗料との違いを解説します。
無機塗料とは?その特徴と基本
無機塗料の定義
無機塗料とは、セラミックやケイ素など無機物を主成分とする塗料です。
紫外線による劣化に強く、耐候性が高いため、一般的に20年以上の長寿命が期待できます。
塗膜は建物の美観だけでなく外壁保護にも重要で、無機物だけでは硬すぎるため、少量の有機物を含めたハイブリッド型が一般的です。
無機物と有機物の違い
無機物は炭素を含まないガラスや鉱石で、紫外線劣化がほとんどなく硬く燃えにくい特性を持ちます。
有機物は炭素を含む樹脂で柔軟性はありますが紫外線で劣化します。
無機塗料と有機塗料の違いはこの主成分にあります。
無機有機ハイブリッド塗料とは
無機塗料は硬すぎる問題を、有機物の柔軟性で補い、適度な密着性を確保したものです。
これによりひび割れリスクを減らし、塗膜の耐久性を高めています。
無機塗料のメリット・デメリット
無機塗料の4つのメリット
1.耐候性が高い
無機塗料は紫外線や雨風に非常に強く、長期間にわたり塗膜が劣化しにくい特性があります。
耐用年数は20〜25年と非常に長く、通常の塗料よりも塗り替え頻度を大幅に減らすことができます。
その結果、長期的なメンテナンスコストの削減につながり、ライフサイクルコストを考慮すると非常に経済的です。
さらに、耐候性が高いことで色あせや光沢の劣化も少なく、美観を長く保つことが可能です。
2.カビ・コケが繁殖しにくい
無機塗料は有機成分をほとんど含まないため、カビやコケが繁殖する栄養分が少なく、防止効果が高いのが特徴です。
湿気の多い環境や北側の外壁など、カビやコケが発生しやすい場所でも効果を発揮し、外壁の美観維持に貢献します。
また、防カビ・防藻性があることで、掃除やメンテナンスの手間も軽減されます。
3.低汚染性と防汚性
親水性の特性を持つ無機塗料は、雨水によって汚れを自然に洗い流すセルフクリーニング効果があります。
排気ガスや砂ぼこりなどが付着しても雨で流れやすく、長期間にわたり外壁の清潔感を保つことができます。
そのため、都市部や交通量の多い地域でも、美しい外観を維持しやすい点が魅力です。
4.不燃性
無機塗料は火に強く燃えにくいため、火災時の延焼リスクを低減します。
耐熱性が高く、万が一火災が発生しても外壁が燃え広がりにくく、安全性の向上に寄与します。
住宅の防火性能を高めたい場合や、隣家との距離が近い住宅地においても有効な選択肢です。
無機塗料の3つのデメリット
1.価格が高い
無機塗料の施工単価は㎡あたり5,000〜5,500円程度と、フッ素塗料よりも高価です。
初期費用はかかりますが、耐用年数が長いため、長期的に見るとコストパフォーマンスは非常に優れています。
ただし、施工範囲や建物の規模によっては初期費用が大きくなるため、予算計画を立てる際には注意が必要です。
2.ひび割れしやすい
無機塗料は塗膜が非常に硬いため、外壁の伸縮や振動に追従しにくく、ひび割れが起こりやすい特徴があります。
特に木造住宅や下地が柔らかい場合にはリスクが高くなりますが、微弾性型の無機塗料を使用することでひび割れの発生をある程度防ぐことができます。
施工前に外壁の状態を確認し、適切な塗料の種類を選ぶことが重要です。
3.職人の知識・技術が必要
無機塗料は施工精度によって耐久性や性能が大きく変わります。
経験豊富な職人による正確な施工が不可欠で、下地処理や塗布量の管理など細部の作業が耐久性を左右します。
また、塗料の「メーカー名」と「製品名」を事前に確認し、信頼できる製品を選ぶことも大切です。
知識と技術のある職人が施工することで、無機塗料の長所を最大限に活かすことができます。
フッ素塗料との比較と選び方
無機塗料とフッ素塗料の比較
・特徴:無機塗料は耐候性・不燃性・防カビ性に優れ、フッ素塗料も耐久性は高いですが、有機成分主体のためやや劣化しやすい。
・耐用年数:無機塗料20〜25年、フッ素塗料15〜20年。
・価格相場:無機塗料5,000〜5,500円、フッ素塗料4,300〜4,800円。長期コストでは無機塗料が有利です。
無機塗料がおすすめな人
・長期的なコストパフォーマンスを重視する人
・「最後の塗装」にしたい人
・カビ・コケや汚れが気になる地域に住む人
・火災リスクを低減したい人
失敗しない無機塗料選び
・信頼できる大手メーカー製品を選ぶ
・見積書に「メーカー名」「製品名」を明記
・外壁材との相性を確認する
よくある質問
・Q.再塗装は難しい?
・A.汚れが付きにくいため、密着が難しく施工費が増えることがあります。耐用年数前の再塗装は推奨されません。
・Q.環境に優しい?
・A.VOC排出が少なく、耐用年数が長いため資源消費も抑えられます。
・Q.メンテナンスは必要?
・A.低汚染性でも定期点検や清掃は推奨。汚れやすい環境では数年に一度の高圧洗浄が有効です。
まとめ
無機塗料は、無機物を主成分とし、耐候性・防カビ性・低汚染性・不燃性に優れた次世代塗料です。
初期費用は高いものの、長期的なコストパフォーマンスが良く、家のメンテナンス回数を減らしたい方におすすめです。
信頼できるメーカーを選ぶことが成功の鍵です。