パミール屋根材の劣化とメンテナンス!葺き替え・カバー工法を比較
2022.08.12 (Fri) 更新

パミールという屋根材をご存知でしょうか?
もしかすると、訪問業者に「お宅の屋根はパミールだから葺き替えた方がいい」と言われた経験がある方もいるかもしれません。
パミールは、現在製造中止となっている屋根材で、特有の劣化症状があるため、メンテナンスには注意が必要です。
今回は、パミールとは一体何なのか、その特徴やメンテナンス方法についてご紹介します。
パミールとは一体何?
パミールの基本情報
パミールは、ニチハ株式会社が1996年頃から2008年頃まで製造・販売していたスレート系の屋根材です。
軽量で施工がしやすく、スマートな見た目から多くの住宅で採用されました。
しかし、製造時期が屋根材へのアスベスト使用禁止への移行期と重なり、ノンアスベスト化されたパミールは、従来の屋根材と比較して耐久性に課題がありました。
築10年前後でひび割れや剥がれといった劣化症状が顕著に現れるケースが多く報告されています。
パミールが製造中止になった理由
パミールが製造中止になった背景には、その耐久性の問題があります。
ノンアスベスト化によって、屋根材の強度が低下し、特にミルフィーユのように表面が剥がれる「層状剥離」と呼ばれる現象が多発しました。
この層状剥離が進行すると、塗装をしてもすぐに剥がれてしまうため、メンテナンスが困難になります。
メーカーは経年劣化としてリコール対応は行わず、現在では製造も中止されています。
パミールと他のスレート屋根の違い
パミールと他のスレート屋根との大きな違いは、その劣化の仕方にあります。
一般的なスレート屋根も経年劣化でひび割れや色褪せが発生しますが、パミールのように層状に剥がれることは稀です。
また、パミールは他のスレート屋根と比較して、吸水性が高い傾向にあります。
そのため、雨水が屋根材内部に浸透しやすく、凍害によるひび割れや剥がれが発生しやすいという特徴もあります。

パミールに多い劣化症状とは
ミルフィーユ現象の詳細
パミールの最も特徴的な劣化症状が、ミルフィーユ現象です。
これは、屋根材の表面がミルフィーユのように薄く層状に剥がれていく現象で、パミール特有のものです。
ミルフィーユ現象は、屋根材の内部に水分が浸透し、それが凍結と融解を繰り返すことで発生します。この現象が進行すると、屋根材の防水性能が著しく低下し、雨漏りの原因となります。
ひび割れや剥がれの原因
パミールのひび割れや剥がれは、ミルフィーユ現象以外にも、様々な要因によって発生します。
・経年劣化: 長年の紫外線や雨風にさらされることで、屋根材の強度が低下します。
・施工不良: 屋根材の固定が不十分な場合、ひび割れや剥がれが発生しやすくなります。
・釘の腐食: パミールに使用されていた釘の一部に、メッキ処理が不十分なものがあり、錆びて屋根材を固定できなくなることがあります。
放置するとどうなる?
パミールを放置すると、劣化が進行し、様々な問題が発生します。
・雨漏り: 屋根材の防水性能が低下し、雨水が室内に侵入する可能性があります。
・構造材の腐食: 雨漏りによって、屋根の下地や構造材が腐食する可能性があります。
・シロアリ被害: 腐食した木材は、シロアリの餌となり、被害が拡大する可能性があります。
・屋根材の落下: 劣化が進むと、屋根材が落下する危険性があります。
パミールのメンテナンス方法とは何がある?
カバー工法のメリット・デメリット
カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねて葺く方法です。
メリットとしては、既存の屋根材を撤去する費用がかからないため、葺き替えよりも費用を抑えられること、工期が短く済むこと、さらに断熱性や遮音性が向上することが挙げられます。
一方でデメリットとして、既存の屋根の状態によってはカバー工法が適さない場合があることや、屋根が重くなるため耐震性が低下する可能性がある点に注意が必要です。
葺き替えのメリット・デメリット
葺き替えとは、既存の屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材に葺き替える方法です。
メリットとしては、下地を補修できるため屋根の耐久性が向上すること、屋根を軽量化できるため耐震性が向上すること、そして屋根のデザインを一新できることが挙げられます。
デメリットとしては、カバー工法と比べて費用が高くなることや、工期が長くなることに留意する必要があります。
メンテナンス費用の相場
パミールのメンテナンス費用の相場は、屋根の面積や劣化状況、選択する工法によって異なります。
・カバー工法: 約80万円~150万円(30坪の住宅の場合)
・葺き替え: 約100万円~200万円(30坪の住宅の場合)
これらの費用には、足場代や屋根材の費用、工事費用などが含まれます。
FAQ(よくある質問)
Q: パミールに塗装は絶対にできないのですか?
A: パミールは、ミルフィーユ現象により塗膜が剥がれやすいため、基本的に塗装は推奨されません。
ただし、劣化が軽微で、専門業者による適切な下地処理を行えば、塗装が可能な場合もあります。
しかし、その場合でも、通常の塗装よりも耐久性が低い可能性があることを理解しておく必要があります。
Q: パミールのリフォームに利用できる補助金はありますか?
A: 地方自治体によっては、屋根の断熱化や耐震化を目的としたリフォームに対して補助金制度を設けている場合があります。
お住まいの地域の自治体に確認してみることをおすすめします。
Q: パミールの点検は、どのくらいの頻度で行うべきですか?
A: パミールは、築10年前後から劣化が始まることが多いため、5年に一度程度の定期的な点検をおすすめします。
特に、台風や地震の後など、屋根に負荷がかかった際には、早めに点検を行うようにしましょう。

まとめ
パミールは、ニチハ株式会社が製造していたスレート系の屋根材で、ミルフィーユ現象と呼ばれる特有の劣化症状が特徴です。
塗装によるメンテナンスが難しいため、カバー工法または葺き替えによるリフォームが必要となります。
放置すると雨漏りや構造材の腐食につながる恐れがあるため、定期的な点検と適切なメンテナンスを心がけましょう。























